美容業界は日々進化を続け、サロンや美容クリニック、ヘアサロンなどが新しいメニューやサービスを競い合う激しい市場です。そんな中、近年とくに注目されているのが、“独自の商品開発”。これまで大手メーカーが作る既製品を使うのが一般的だったのが、今ではプロフェッショナル自身が企画・開発して、オリジナルの商品を打ち出す動きが広がっています。
この記事では、大手化粧品OEMメーカーで100社以上の企画・製造を手がけ、美容業界の最前線を見てきた視点から、なぜ今“独自の商品開発”に注目が集まっているのかを解説します。美容業界の方がすぐに理解し、実行に移せるよう、できるだけわかりやすい言葉でまとめました。オリジナル商品の開発を検討している方、既存のラインナップを見直したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
1. 差別化が難しくなった美容業界の現状

1-1. 技術やメニューの“横並び化”
かつては「機器を導入すれば一気に人気店に」「最新の施術を取り入れれば他店と差がつく」という時代もありました。しかし、情報の伝達が早くなった今では、人気メニューや先端機器を使った施術はあっという間に周知され、全国的に展開されるようになります。結果として、どこのサロンも“似たようなメニュー”を提供している状況が生まれやすくなりました。
1-2. SNSで顧客の選択眼が向上
SNSの普及で、消費者側も多くの情報を簡単に比較できるようになっています。技術力や価格だけでなく、サロンの雰囲気やスタッフの接客態度までが口コミや写真・動画を通して共有される時代です。そんな中で「ここしかやっていない」「このブランドにしかない」というユニークさを打ち出すことが、今の美容業界で生き残る鍵になってきました。
1-3. 既存商品だけでは限界がある
既製品を使いこなすだけでは、どうしても他店と同じ売り方・同じ仕上がりになりがち。もちろん優れた市販品は多くありますが、それだけで大きく差別化できるかというと、やはり限界があります。こうした背景から、独自の商品を作るという選択肢が再注目を集めているのです。
2. 独自の商品開発に注目が集まる3つの理由

2-1. ブランド力を高める“オリジナリティ”
サロンや美容クリニックならではのコンセプトや技術を商品に落とし込むことで、強烈なオリジナリティを持つことができます。たとえば、
- 敏感肌専用のスキンケアブランド
- オーガニック原料にこだわったヘアケアライン
- エイジングケアに特化した美容液
など、ターゲットや目的を明確にしたオリジナル商品は、そのサロンの“象徴”となり、ブランド価値を大きく引き上げる要因になります。
2-2. 施術の効果を高める相乗効果
サロンで行う施術の効果を持続させたり、さらに強化するためのホームケア商品があれば、お客様の満足度は飛躍的にアップします。大手メーカーの既製品でも似た効果を得られる場合はありますが、施術と相乗効果を狙った処方を独自に開発することで、まさに「ここでしか買えない」特別感をアピールできるのです。さらに、使用時のトラブルや仕上がりを把握しやすい点も大きなメリットといえます。
2-3. 収益源の多角化とリピート率の向上
オリジナル商品を展開すれば、サロンの売上は施術料だけに頼らなくて済むようになります。ホームケア商品として継続購入してもらえれば、リピート率の向上や通販での追加利益も期待できます。特に小ロット対応のOEMが普及してきた今、在庫リスクを最小限に抑えながら、柔軟に商品ラインを拡充できるようになりました。
3. 独自の商品開発がもたらすメリット

3-1. 他店との差別化が明確に
多くのサロンが共通した機器やメニューを扱う中で、商品ラインが独自であれば、それだけで大きなインパクトになります。SNSや広告で「当店オリジナルの○○」と打ち出すことで、お客様の興味を引きやすいですし、話題にもなりやすいのです。
3-2. サロンのコンセプトやストーリーを伝えやすい
オリジナル商品には、サロンの想いやこだわりをたっぷり込めるチャンスがあります。「なぜこの成分を選んだのか」「どんな肌質や髪質の方に使ってほしいのか」といったストーリーを、商品自体が語ってくれます。施術を受けているだけでは伝えきれない世界観を、商品の形で表現できるのです。
3-3. リピート率と顧客ロイヤルティの強化
サロン専売の商品に満足してもらえれば、「ここでしか買えないから、また行きたい」「在庫がなくなったからサロンに問い合わせよう」という流れが自然に生まれます。単純な物販以上に、リピート率を高めるツールとして機能し、新規顧客だけでなく既存顧客との結びつきも強化できます。
4. 商品開発を成功させるためのステップ

4-1. 明確なコンセプト設定
「すべての肌質に合う商品を作りたい」「幅広く使えるヘアケアが欲しい」という抽象的なアイデアでは、なかなか独自性のある商品に仕上がりません。最初に、
- ターゲットはどの年代・肌質・髪質?
- どんな悩みを解決したい?
- 価格帯や使用感はどんなイメージ?
といった具体的なコンセプトを明確にしておくことが成功の第一歩です。既存のサロンメニューと合わせて、コンセプトに統一感をもたせると、ブランド全体の魅力が増します。
4-2. OEMメーカーの選定と小ロット対応
近年は、化粧品OEMメーカーも多種多様。小ロット対応やオーガニック原料に強みがあるところ、エイジングケアに精通しているところなど、それぞれ得意分野があります。サロンが求めるコンセプトや規模感に合ったメーカーを選ぶために、
- 過去の開発実績
- 提案内容のわかりやすさ
- コミュニケーションの取りやすさ
- 品質管理や薬事申請のサポート体制
などを見極めることが大切です。特に小ロット対応は、在庫を抱えるリスクを低減するためにも重要なポイントになります。
4-3. 試作品のテストとブラッシュアップ
理想の処方が決まったら、試作品を作って実際にスタッフや一部のお客様に使ってもらい、フィードバックを収集します。テクスチャーや香り、効果の実感度など、細やかな感想をもとに必要な調整を重ねることで、完成度の高い商品に仕上がります。納得できるまで試作品を重ねることは時間がかかるものの、**“ここだけの一品”**を生み出すための大切なプロセスです。
4-4. パッケージとブランディング
見た目の印象も商品開発の重要な要素。パッケージデザインや容器の選択には、サロンのブランドカラーやイメージを反映させると良いでしょう。お客様が手に取ったときに「これ、センスがいい」「自分のお部屋や洗面所に置いておきたい」と思えるように工夫すれば、使うたびにサロンのイメージを思い出してもらえる存在になります。
5. 成功事例:独自商品開発がもたらした変化

5-1. スキンケアラインで集客率アップ
ある都市部のフェイシャル専門サロンでは、エステ施術後のホームケア用として独自のスキンケアラインを開発。敏感肌でも使いやすい処方と、洗練されたデザインで差別化を図りました。導入後、「施術の効果を持続させたいから」と継続購入するお客様が増え、サロン全体の売上は半年で約1.5倍に。また、SNSで商品を紹介したところ、商品を求めて新規来店するお客様も増え、結果として集客率の向上にもつながったそうです。
5-2. ヘアサロンが開発したダメージケアシャンプー
ヘアカラーを繰り返すお客様が多いサロンでは、サロン専売のダメージケアシャンプーとトリートメントを商品化。特にブリーチやカラー後の髪を考慮し、ケア成分を高配合に設計しました。スタッフ自らが商品開発に参加し、何度も試作品を試しながらベストな仕上がりを追求。
結果として、サロンでは「これを使うとカラーのもちが全然違う」と顧客満足度が高まり、ホームケア商品としての売上も施術と同等レベルに。コロナ禍で来店頻度が減った時期でも、通販で商品を購入してもらえる仕組みを作り、売上の安定化に成功しています。
5-3. エイジングケア特化型クリニックの美容液
エイジングケア専門の美容クリニックでは、注射やレーザー施術のアフターケアに特化した美容液を独自開発。施術後の炎症を抑えつつ、美容成分をしっかり補給できる処方が好評で、施術を受けたお客様の8割近くがそのまま商品を購入するという結果に。
「施術だけではなく、ホームケアでも結果を出したい」というお客様にとって、この商品が不可欠な存在となり、リピーターの確保や新規顧客の増加にも大きく貢献しました。
6. 独自商品開発をはじめる際の注意点

6-1. 施策の計画とスケジュール管理
商品の開発には、企画・試作・ブラッシュアップ・パッケージ決定・薬事申請など、複数のステップが必要です。特に初めての商品開発の場合、スケジュール管理やコミュニケーション不足でトラブルが起こることもあります。あらかじめ全体像を把握し、OEMメーカーとの連携をこまめに行うことが成功への近道です。
6-2. 小ロットでテストし、市場の反応を見極める
大きなリスクを取るのが不安な場合、まずは小ロット生産でテスト販売を行うのも良い方法です。販売状況やお客様の声を分析し、必要があれば処方やデザインを改良することで、最終的に完成度の高い商品を作り上げられます。柔軟に改良できる体制を整えておくと、長期的にブランドを育てることが可能です。
6-3. 宣伝・マーケティングの工夫
どんなに素晴らしい商品でも、お客様の目に触れなければ売れません。サロン内でのPOPやカウンセリング時の紹介だけでなく、SNSでのビフォーアフター写真の発信や、通販サイトの立ち上げなど、幅広い販路とプロモーションを検討しましょう。ブランドの世界観を統一し、ストーリーを盛り込むことで、より多くの人に魅力を伝えやすくなります。
7. まとめ:独自の商品開発で未来を切り拓く
今の美容業界では、サービスの質が横並びになりやすく、お客様の選択眼も厳しくなっています。そんな時代にこそ、サロンや美容クリニックが自らの理念や強みを商品に落とし込み、“ここだけ”の魅力を打ち出すことで大きな差別化を図れるのです。独自の商品開発は、ブランド価値の向上、施術効果の高まり、売上の多角化といった多方面のメリットをもたらします。
もちろん開発には手間やコストもかかりますが、最近では小ロット対応のOEMメーカーが充実し、リスクを抑えながらスタートできるようになっています。商品開発のノウハウや市場ニーズを押さえ、試作品段階でしっかりテストを行うことで、確度の高い商品を生み出すことが可能です。
もし「うちのサロンだけのカラーをもっと打ち出したい」「お客様に長く使ってもらえる商品が欲しい」と考えているなら、独自の商品開発にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。いつもの施術メニューにプラスアルファの魅力を加えることで、あなたのサロンやクリニックが、競合ひしめく美容業界の中でしっかりと存在感を放つことができるはずです。
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